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COLUMN

ブランディングにおけるショッパーの役目と重要性

2025.04.28

ブランド戦略を考える上で、パッケージデザインや広告だけでなく、「ショッパー(買い物袋)」の存在も軽視できません。

多くの企業がデジタルマーケティングに注力する一方で、実店舗での購買体験を大きく左右するショッパーは、ブランドの世界観を伝え、顧客の購買後の満足度を高める重要な役割を果たします。

 

【ブランディングにおけるショッパーの役割とは?】

ショッパーとは、商品を購入した際に持ち帰るための袋のことです。紙袋やビニール袋など素材はさまざまですが、単なる「持ち運び用の袋」としてではなく、ブランドの一部として機能しています。

① ブランドの世界観や想いを伝達する役割
ショッパーは、商品の「包装」の一部でもありますが、商品の一部として顧客が商品を購入した後もブランドの世界観や想い、目指したい方向性を補完する重要なアイテムです。
選ぶ素材やデザインによって高級感を感じさせるブランドにしたいのか、ECOに力を入れているブランドにしたいのかなど顧客にブランドの価値が視覚的に伝達するツールとしての役割も果たしています。

② 広告・プロモーションツールとしての役割
ショッパーは、消費者が持ち歩くことで「移動する広告」としての機能を果たします。ブランドのロゴやデザインが入ったショッパーを持つことで、街中や公共の場でブランドの認知度を向上させる効果が期待できます。

③ 顧客のロイヤルティを高める役割
洗練されたショッパーは、顧客が再利用したくなるため、ブランドとの接触機会を増やす役目もあります。お気に入りのブランドのショッパーを2次利用することで、ブランドのファン意識が高まり、リピート購入のきっかけになることも予想されます。

【環境問題に対する関心から変化する現代のショッパー】

2020年7月からプラスチック製レジ袋の有料化が始まり顧客の心境にも変化がありました。

全国の消費者3,000名を対象に2021年3月に実施された「Ponta消費意識調査」によると、家庭のプラスチックごみ削減のために取り組みたいこととしては「マイバッグを利用する」が94.2%にも及ぶという結果がありブランドでも環境に配慮したショッパーを導入する動きが広がっているようにも思えます。
(引用 : chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.loyalty.co.jp/storages/pdf/210427_1.pdf)

A.P.C.
「A.P.C.」は2022年5月、使い捨ての紙製ショッパーを廃止し、何度も繰り返し使用できるリサイクルポリエステル生地へ切り替え、販売を開始しました。売り上げの一部はWWFジャパンの環境保全活動へ寄付されるそうです。(画像引用_https://zozo.jp/elove/42155/

「BEAMS」は2021年5月、年間39万枚生産していたビニール製ショッパーを廃止し、GOTS認証を受けた100%オーガニックコットン製のショッパーに切り替えました。
“都度ショッピングバッグを消費する”という前提を変えていくことがねらいで売上の10%は公益財団法人オイスカ「子供の森」計画へ寄付されるそうです。(画像引用_https://zozo.jp/elove/42155/

 

【ブランドにおけるショッパーの重要性】

ショッパーは、ただ商品を購入した際に持ち帰るための袋という領域を超え始めています。
存在そのものを疑問視される世の中で、デザインや素材を通じてブランドの世界観やこだわりを伝える為にブランドにとってより大切なツールになりつつあります。

ショッパーに担わせる役割は年々増えてくると予想される中で、どういうデザイン・素材・メッセージを込めるかによってブランドの今後を左右していくことにも繋がるのだと思います。
むしろブランディング戦略においてショッパーを“後回し”にしていては本当に価値のあるブランドは築けないのではないでしょうか?

小さな袋ひとつにも、ブランドの魅力を詰め込む。
その意識が、これからのブランディングではますます大切になっていくのではないでしょうか?

引用:「ショッパー」がサステナブルに進化。脱プラやリユースの動きに注目!
– https://zozo.jp/elove/42155/

P.K.G.Tokyo 長田庄太郎


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