P.K.G. MAGAZINE | パッケージを考える

COLUMN

椎茸づくりに教わるシンプルなデザイン志向。

2018.05.02

先日、椎茸農家を見学してきました。そこの農家さんは、日本の椎茸の半分ほどに匹敵する椎茸菌をいくつか作ってきた生みの親。「新しい菌をつくるというものは、一生のうちに1つでも見つけられるかどうか。顕微鏡の中を覗き込んで、日々椎茸の菌を見てきた」といいます。なぜ一生のうちに1つでも見つけられたら…という世界でいくつもの菌を発見し、可能性を試し、生み出すことができたのか。ひとつは「目の色彩感覚にあるのではないか。人には見えないが、私には見えるんです。その菌が光っているように」と不思議な感覚を話してくれました。

しかし、その方の才能をもっと活かしたのは、努力と探究心。悩みがなくなるまで「とことんやる」こと。可能性のある菌と菌のマッチングを試す経験と勘。生産工程も自らが考え、それに適した設備を自作してきたといいます。ある生産工程の部屋に入ると、そこの空気は澄みきっていました。まるで清冽なアルプスの森の中に入ったような感覚でした。その空気を創り出す秘密は控えますが、「理想の自然環境と同じ空気をつくった」といいます。私が「あなたが理想と思う自然は、この世界に実在していますか?」と問いかけたら、「ある。この近くに1カ所だけね」とひと言。里山風景のどこかにある、この方だけが知っている小さな場所があるようでした。「人は心地よいものを求めます。無意識に感情を動かして選びます。わたしたち作る側の理屈なんて、食べるときには関係ないよ。椎茸ならおいしさがすべて。デザインも同じなんじゃないかな?詳しいことはわからないけれど」

最高級の椎茸をつくるというデザインにおいて最も大切なところは、「この地球で一番きれいな森と、同じ自然の中で椎茸を生かす」ことでした。

コピーライター 神野芳郎

COLUMN

バレンタイン商戦に行ってきました。

2018.03.06

2018年、今年の冬は東京でも雪が積もり、あまりの寒さにまだかまだかと遠い春を待つばかり。
そんなお天気とは裏腹に、一段と熱く燃え上がっているのはバレンタイン商戦。恋人に、友人に、会社に、自分へのご褒美に、用途はみなさまざまでしょう。ところで、みなさんどうやってそのチョコレート選んでます?味?お値段?かわいい見た目に一目惚れ、なんていうのもありますね。
今回はパッケージデザインの会社らしく、素敵なパッケージのチョコを求めて、大手百貨店のバレンタインフェアを巡ってみました。銀座三越、松屋銀座、大丸東京店をハシゴです。

■ドゥバイヨル
ベルギーのチョコレート。ヨーロッパチックで乙女心くすぐる見た目にイチコロでした。インスタ映えとはかくやといった感じ。私が買ったのは、マチュラン シトロネット(1,080円)。砂糖漬けにしたレモンピールにチョココーティングがされていて、爽やかな柑橘の香りが良い。自分用としてでも、お友達にあげても喜ばれそう。


■カカオ・サンパカ
スペインのチョコレート。チョコそのものの造形が美しく、それを収まり良く見せるシンプルかつ上品な箱です。シックで大人向けなデザインなので、男性へのプレゼントとしても良いかも。こういう貼り箱って結構お値段するんですって。ビターで大人な味わいでした。


■ピエール・マルコリーニ
ベルギーチョコの王道。発色がどれも綺麗で、とても目を惹きました。缶なんて、食べ終わったあとに小物入れにするのにちょうど良いサイズ感と可愛さじゃありません?パッケージに描かれたタツノオトシゴは、ベルギーで古くから愛と幸せの象徴なんだそうです。味は言わずもがな。


■コンパーテス
ニューヨークのチョコレート。花や猫といった可愛いモチーフが多い中、ポップなスカル推しが異彩を放っていました。中でも危険そうな、1つだけDANGER(激辛味)入りのロシアンスカル(1,296円)を購入。蓋を開けてもポップで可愛いので、仲間内で配るならうってつけかも。社内にいた5人でロシアンチョコレートをやったところ、激辛があまり激辛ではなかったようなので、来年はもっと辛さ増量して大丈夫ですよコンパーテスさん!ちなみに私はラズベリーでしたが、甘酸っぱいソースが口に広がって大変美味しかったので、お味は保証します。


バレンタイン商戦は各社が毎年力を入れているので、ちょっとした博覧会のようでした。
来年以降もパッケージからじっくり見て選んでみるのも楽しいかもしれません。

P.K.G.Tokyo:横田 藍

COLUMN

日本らしく外国人が買いたい食品パッケージとは?

2018.03.06
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近年世界は均質化してきており競争は国内だけではなく世界規模で行われています。その中で日本食は海外において好意的に捉えられています。わたしがロンドンに留学していた2014-15年においても、本格的な和食屋さん、和食の要素を取り入れたヨーロッパ料理、ヘルシーなファースト寿司店など様々な和食レストランを体験することができました。一方、スーパーに行くと中華やタイなど他のアジアン料理の方が幅をきかせているという印象があり、たまに和食を見つけても日本のメーカーのものではないことがほとんどでした。流通の問題などクリアしなければいけない問題は多々ありますが、パッケージデザイナーとして、海外スーパーの棚で日本人が見ても違和感がなく外国人にも魅力的な和食のデザインを考察してみたいと調査を行いました。

どんな食品パッケージがすでにあるのか


企業が国外に進出しようと思った時、すでにその国で確立されたブランドを用いるか、販売国の嗜好に合わせるかという選択をすることになります。ブランディングの観点から言えば国内も国外も一貫したビジュアルにすることが好ましいですが、食品は電化製品や車よりもローカル文化の影響を強く受け、なおかつ保守的な領域なのが難しいところです。2015年時点で日本企業が海外市場向けに販売している商品を見てみました。明治のたけのこの里はCHOCOCONES と名前を変えています。一方で味の素のCOOK DOは日本で売られているパッケージとほぼ同じ構成です。

どんな色が使われているのか


次にロンドンの和食レストランのウェブサイト・店舗およびスーパーに売られている和食(主にSUSHI)を観察し、どのような色が使われているのか調べました。国旗の色である赤・白はもちろん、黒が多く使用されているのが特徴的でした。本格的な和食レストランでは木が多く使用されていることもあり、茶の印象も受けます。またSUSHIはヘルシーというイメージも強いため緑もよく使用されています。同じ寿司店でも職人に握ってもらうZUMA と回転寿司のYO SUSHIではイメージがかなり違います。

外国人が持つ日本のイメージは?

日本に関する本からキーワードを拾い出し、ロンドンの大学院に留学中の外国人25-30歳にマッピングしてもらうワークショップを行いました。グループを東-東南アジアのタイ人と韓国人(グループ1)、ヨーロッパの文化が強いギリシャ、マケドニア、イギリス、インド人(グループ2)にわけ、それぞれのグループで何がピンとくるか雑談してもらいながら順位をつけてもらいます。その結果、グループ1ではZEN、FujiやUkiyoeなどの伝統的なイメージを強く持っていたのに対し、グループ2ではAnimationやGameなどポップカルチャーの印象が強いことがわかりました。


次に彼らに日本の文化やビジュアルを紹介する本の表紙を見てもらい、どれに日本を感じるか順位をつけてもらいました。キーワードのワークショップと同じく、グループ2はポップなものが上位に入りました。グループ1では伝統的というよりシンプルなもの、日本人のわたしから見てもモダンなものが上位に入りました。


では食品パッケージになるとどうなのでしょう。知名度の高い和食であるMISO SOUPのパッケージを見せ、今度は日本関係なくどれを買いたいか順位をつけてもらいました。上位3つのうち2つは両グループで同じものでした。グループ1で一番に選ばれたデザインは実は日本国内向けのパッケージですが、力強いゴシック体がとても日本らしくて良い、湯気がおいしそうという評価でした。一方、グループ2では病院食のようでおいしそうではないという意見が出ました。2番目に選ばれたものはとにかく写真が美味しそう、シンプルな色が写真を引き立てているという評価で一致。グループ2で一番に選ばれたものはベージュ色、空間、日本語の文字が本格的で美味しそうだということでした。

次にタイ人と韓国人(グループA)ギリシャ人とイギリス人(グループB) とそれぞれアジア系スーパーのインスタントラーメン売り場に行き、インタビューを行いました。日本から輸入されたもの、香港から輸入された日本メーカーのもの、タイや韓国、インドネシアのメーカーのものなど色々ある中で何が際立って見えるのか、実際購買する立場になった時に何を見ているのかヒントを得るためです。意外だったのが、先のキーワード及び本の表紙並び替えワークショップでポップカルチャー寄りだったグループBのヨーロッパ人たちが購買意欲を持ったのがトラディショナルな見栄えのものだったこと。ポップなものは子ども向けの商品に見えるという理由でした。彼らはメーカーの違いはわからないし文字は読めないけれどなんとなく日本語の見栄えはわかるようです。服飾ブランドのSuperdryやアニメーションで馴染みがあるのかもしれません。

日本らしく、外国人が買いたい食品パッケージを作ってみる

以上をふまえ実際にインスタントラーメンのパッケージデザインを7つ作ってみてアンケート形式で外国人に日本を感じるもの、買いたいものをそれぞれ聞いてみました。73人の回答を得た結果、最もポジティブだったものはベージュの背景にアシンメトリーにレイアウトされた伝統的見栄えのパッケージ(Design1)でした。写真がないものとキャラクターの入ったものは、日本を感じるが購買意欲が低いという結果でした。意外にもよく使われていた色であるはずの黒は日本らしさ・購買意欲ともにあまり高くないという結果でした。

日本らしく外国人が買いたい食品パッケージの要素

調査を経て食品パッケージにおいて打ち出すべき日本らしさは伝統的な本格感なのだとわかりました。日本語の文字は読めずとも本格感を演出する要素にはなるようです。アシンメトリーで間を持たせるレイアウトも商品及び売り場によっては目立つ要因になるかもしれません。ベージュという色は当初あまりわたしの頭にはありませんでしたが、ワークショップ・店頭でのインタビュー・アンケートでも日本の色として外国人に認識されていることがわかりました。禅やわびさびといった静的なイメージと結びついているのかもしれません。ベージュはたいていの食品の美味しさを邪魔しない色なので、今後機会があればトライしてみたいなと思います。

P.K.G.Tokyo :中澤亜衣

COLUMN

コンセプトは作り出すというよりも彫り出す感覚に近い。

2018.02.07


東京オリンピックを目前にし、2017年の秋から東京都美術館ではさらなる認知度向上とブランドイメージ強化を目的にオリジナルグッズの販売をしています。海外からの来館者を主眼に置き、「アートへの旅」をコンセプトに様々なグッズを展開。スローガンは「ART VIA TOKYO」です。「ART VIA TOKYO」を直訳すると「東京経由アート行き」という意味。交通標識や空港の電光掲示板のような言い回しは「旅」をテーマにしたからです。主要なハブ空港を経由して各々が目的地に向かうように、東京都美術館を訪れた人々は旅人となって、それぞれにアートという旅に出るというコンセプトです。インスパイアされてこそ「アートの体験」と言えます。



夏目漱石の「夢十夜」の中で運慶は、仁王像は彫って形づくるのではなく、まるで土の中から埋まっている石を彫り出す(取り出す)ようなものだから決して間違わない、という内容の一節があります。ミケランジェロのダビデ像のエピソードでも似た話があるように、おそらくマエストロクラスになると、そう言った感覚になって彫刻をしているのかもしれません。彼ら巨匠を比喩にするのはおこがましいですが、コンセプト立案というものも作り出すというよりも、彫り出す(土を払って取り出す)感覚が近いと感じます。デザインコンセプトというものは何か強烈な個性によって立案していくものではなく、課題や条件などの点を繋いでいった結果に浮かび上がるものだからです。それはすでに土の中に眠っている形を彫り出すことにとても似ている。課題や条件を整理して、余計な土を取り払うと見えてくるコンセプト。そうやって生まれたコンセプトはとても必然的で、説得力のあるものになっているはずです。
海外からの来館者を視野に入れたブランディングを展開して欲しいという美術館側の考え。新たに東京都美術館をアートの発信の場、コミュニケーションの場として知ってもらうこと。東京都美術館というブランドをワンランク上のものにしていくこと。今回もたくさんの課題や条件、希望といった「点」が存在しました。それらの点を見つけ、必要な点を繋いでいった先に「ART VIA TOKYO」というスローガンが生まれたのです。


話をグッズに戻しましょう。今回、コンセプトに沿ってキービジュアルにしたのは、スローガンロゴタイプと飛行船。アートへの旅のメタファーとしたのはジェット機や高速鉄道のように急いで着くことを目的とした乗りものではなく、ゆっくりと旅する飛行船にしました。目的地まで時間をかけて旅をする。すぐに結論を求めるのではなく、アーティストが表現することの行間を読んでこそ、アートの旅だと私は考えます。そしてグッズはどれもメイドインジャパンにこだわり、日常的に使えるものになっています。記念としての「おみやげ感」を強く押し出すのではなく、日々の生活にフィットするようなものを多く揃えました。それは、アートというものが一部の人に向けられた非日常ではなく、もっと身近な存在であるべきだという観点だからです。オリジナルグッズを普段から使ってもらい、美術館というものの存在が特別なものではないと知ってもらう。とりわけTシャツやトートバッグは好評で、買っていただいた方の日常に貢献しているようです。


少しディテールの話もしておきましょうか。今回の「ART VIA TOKYO」オリジナルTシャツでターゲットにしたのは女性でした。肩の繋ぎ目のないラグラン袖は動きやすくシルエットが女性的です。特に袖丈はこだわった箇所で、クライアントの女性担当者さん達や、Tシャツの製作をしていただいた久米繊維さんの意見を参考にしながらディテールを詰めていきました。色は白とブルーグレーの2色展開。この2色は全体を束ねるテーマカラーでもあります。



海外の方々に人気ということで手ぬぐいも製作しました。要はシルクスクリーンで刷るのですが、ドット模様の表現の難しいこと。苦労した点です。本格的な手ぬぐいはプリントアウトではないので、そもそも細かい表現が苦手。その代わり手捺染という手法によって、裏まで色を通しオモテ面はクリアにくっきりと表現できます。細かなドットを再現してくれた職人さんには尊敬と感謝の念しかありません。



他にもトートバッグやコースター、バッジにマグカップなど、たくさんのグッズを揃えました。今後もさらに「ART VIA TOKYO」はラインナップを増やしていきます。上野にお越しの際は、ぜひ東京都美術館にお立ち寄りください。

P.K.G.Tokyo ディレクター:柚山哲平

COLUMN

デザインの世界では無視できない「文字」と「ロゴタイプ」の話。

2018.01.27

決して大げさな表現でなく、私は人類史上最高のデザインは「文字」だと思っています。「文字」がデザイン?文字は文字でしょ?という方もいるかと思いますが、図形をルールに従って並べコミニュケーションをとるという行為は、紛れもなくデザインによって成り立っているもの。人類が有史以来、切磋琢磨して編み出したデザインのひとつと言えます。長くグラフィックデザインに携わっていると、如何に書体というものが重要かがわかってきます。言い換えれば、デザイナーにとって文字を組むということや書体の成り立ちを知ることは、基礎としてある程度は勉強しておかなければならないということでもあるのです。

かく言う私も大学で書体の授業をかじった程度で、プロのデザイナーになるまで書体の知識はあまりありませんでした。ですが、デザインの世界を知れば知るほど、書体や文字組の重要性を感じざるを得ないのです。難しくとらえる必要はありません。可愛い文字、綺麗な文字、かっこいい文字はそのままレイアウトの可愛さ、綺麗さ、かっこよさに繋がります。加えて、文字の大きさや文字間・行間などのマージンをコントロールできていないものは、非常に読みにくい。逆にコントロールできているものは美しく読みやすい。基本はこれだけです。これは文字が使用されているものすべてに当てはまります。
お持ちの家電の操作パネルを見てください。そうですね、例えば洗濯機。「洗濯」「脱水」などの表示が文字で入っていると思います。使われている書体や大きさ、見やすさはどうでしょうか?得てして最新型の美しいフォルムとは裏腹に、あまり頓着されていない文字の扱いをよく見かけます。まさに画竜点睛を欠く。形と文字を切り離して考えた結果です。違う例を挙げてみましょう。例えば駅。看板やサイン、路線図に至るまであらゆる場所で文字を見かけます。注目して見ると、遠くからでも可読性の高い文字がセレクトされ、分かりやすいレイアウトがなされているはずです。このように身の回りには文字があふれています。駅のサイン、交通標識、商品のパッケージにもたくさんの文字がレイアウトされています。つまり書体と文字組をコントロールすると言うことはグラフィックの世界の話だけでなく、すべてのデザインに共通して必要なことなのです。



それほどデザインと切っても切れない文字。その最たる例のひとつが「ロゴタイプ」と言えます。企業、ブランド、商品、サービス、あらゆるものが「ロゴタイプ」として表現されています。余談ですが、一般的にロゴと省略されて言われているものは正式には「ロゴマーク」で、ロゴマークはシンボルマークとロゴタイプから構成されることが多いです。もちろん皆さんご存知の通り、ロゴタイプのみのロゴマークもたくさん存在します。
数えだしたらきりがないほど、世の中にたくさん存在するロゴタイプ。一見、既存の書体に見えるものでも、実はアレンジしていたり、既存の書体を下敷きにしながらオリジナルのロゴタイプとして再構築されたものがほとんどです。もちろん、まったくのゼロから発想することもありますが、概ねロゴタイプには何かしらのルーツがあると言っても過言ではない。それらルーツをお手本に改良したり、趣旨に沿ってアレンジしていくことはロゴタイプ開発の最初のステップと言えます。よく知られている例で言えばチョコレートの「GODIVA」。このロゴタイプは「Trajan」という書体がベースになっていることで有名です。ローマの石碑に刻まれた文字から生まれたこの書体は、チョコレートの老舗を表現するのに最適だったのだろうと想像できます。

ここで実際の制作事例をひとつ。これは靴のリブランディングの際に制作したロゴタイプです。たくさんの案の中から「Copperplate Gothic」という書体をオリジナルに持つ案が採用になりました。「Copperplate Gothic」は国内外問わずよく見かける書体で、独特のオーセンティックな雰囲気があります。上が「Copperplate Gothic」そのまま。下が最終的に完成したロゴタイプです。ぱっと見、似ていますが、よーく観察すると結構違う。完成形はオリジナルよりもややエキスパンドされた形。またBとFだけ微妙に大きいスモールキャップスになっています。名作書体の特徴を活かしながら、より安定感・安心感ある「ブランドの顔つき」を表現しています。ほんの少しの差かもしれませんが、よりそのブランドが持つ個性を引き立たせるため、ロゴタイプはデザイナーたちによって磨かれ続けています。

完成したロゴタイプの設計図はこんな感じ。セリフ(飾り)の大きさや文字の太さなど、まったく新しい設定の書体に生まれ変わっています。書体制作は錯視との戦い。一貫したルールの設定と、それを崩す見た目優先とのバランスの取り方で作り手の個性が出ます。


最小使用サイズで箔押ししても、ロゴタイプが綺麗に再現できる太さや大きさの設定に。この案件では担当者(靴のデザイナー)の要望を踏まえ、靴に配置される際の最適な表現サイズの設定もしました。ロゴタイプ開発ではコンセプトを表現することや見た目の美しさだけでなく、技術的な条件をクリアすることも必須事項です。

このように様々な由来を持つロゴタイプ。書体デザイナーが制作した書体は、あらゆるデザインの礎になっており、別のデザイナーにさらに磨きをかけられて様々な場所でロゴタイプとして使われています。あなたのお気に入りブランドのロゴタイプ。そのルーツを探すのもまた面白いかもしれません。

P.K.G.Tokyo ディレクター:柚山哲平

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