P.K.G. MAGAZINE | パッケージを考える

INTERVIEW

ロッテ×P.K.G.Tokyo ブランドを育てていくために必要なこと *前編

この記事はJPDAのWEBマガジン『ぱっけーじん』からの転載記事です。(https://packajin.jpda.or.jp/brand_lotte_1/)2024年7月25日掲載

 

私たちの生活の周りでは、毎年数多くの新商品が生まれています。その新商品がブランドとして定番化され、長く愛される存在となるには、その過程でどのような努力がなされているのか。「ロッテ プレミアムガーナ」のブランドの開発と成長に関わってきた株式会社ロッテの担当者とP.K.G.Tokyoの柚山さんを交えてのインタビュー対談です。

取材・文:大島 有貴  撮影:唐 鸿plana inc.

「ロッテ プレミアムガーナ」とは

今年、60周年を迎えるロッテガーナブランド初のサブブランド。「一日の終わりに、ご褒美時間。」をコンセプトに、高級感や特別感を感じる商品だ。202110月に発売し、商品の美味しさはもちろんのこと、洗練されたパッケージデザインにも注目が集まっている。

cl. 株式会社ロッテ
cd. 石井美希(株式会社ロッテ)
ad. 柚山哲平(P.K.G.Tokyo株式会社)
d. 白井絢奈(P.K.G.Tokyo株式会社)

 

(左)株式会社ロッテ マーケティング本部 ブランド戦略部 ガーナブランド課 山口 洸也さん(中央)株式会社ロッテ マーケティング本部 情報クリエイティブ部 デザイン企画課 石井 美希さん(右)P.K.G.Tokyo CCO(Chief Creative Officer)柚山 哲平さん

 

今まで培ってきた「安心感」と、生活者のニーズを満たした「プレミアムガーナ」

 

──「ロッテ プレミアムガーナ」(以下:プレミアムガーナ)発売から4年目を迎えるとのことですが、ブランド立ち上げの経緯を教えていただけますでしょうか。

 

山口:ガーナミルクチョコレート(以下:ガーナ)は1964年に誕生した弊社チョコレート製品の中で第一号の商品です。ミルクチョコレート発祥の地、スイスの技術者を日本に呼び、高品質のチョコレートを完成させました。そのガーナが、今年60周年を迎えます。産地であるガーナの方々のカカオへの情熱と、消費者へ美味しいチョコレートを届けたいという弊社の熱い想いを重ねて「ガーナ」という商品名にしました。その想いはパッケージにも反映されており、情熱を赤色のパッケージで表現しております。当時、チョコレート商品に社名を入れることや、茶色をパッケージに使うことが通例でした。そんな中、品質へのこだわりが伝わる商品名と赤色のパッケージが、大変注目を集めたとのことです。

今回お話する「プレミアムガーナ」は、202110月に発売することになるのですが、その1年前頃から様々な検討、調査を行っておりました。当時はコロナ禍で、生活者にストレスが多い生活環境がある状況です。実際に調査を行ったところ、ご褒美・特別感へのニーズの高まりに加え、買い物に失敗をしたくない、そして食品としての安心感がニーズとしてあがりました。そこで、長い間ご支持いただいてきたガーナが安心感を担保しながらも、高級感を兼ね備えた「プレミアムガーナ」の開発が進んでいくことになりました。ガーナとして、サブブランドを作ることは初めての試みでした。その時はまだ「プレミアムガーナ」というネーミングも決まっていない状況でしたが、以前からデザイン開発でお世話になっていたP.K.G.Tokyo(以下:P.K.G.)さんに早い段階で、ご相談させていただいた経緯があります。

柚山:そうですね。商品の企画当初から関わらせていただきました。ネーミング案をP.K.G.からも出させていただいた上で、調査を行い、その結果を元にロッテさんと議論を尽くし、最終的には「プレミアムガーナ」という万人にとってわかりやすい名前に決定しました。実は、プレミアムガーナには、その前身と言えるガーナのプレミアムラインの商品が存在しました。その中でも、弊社が携わらせていただいた「ガーナ マリアージュ <ストロベリー>/<ブルーベリー>」(20204月発売)でのシンボリックな表現が、大胆で高級感があると評価され、翌年の「プレミアムガーナ」誕生へと繋がっていきました。

 

「一日の終わりに、ご褒美時間。」という価値を伝えつづけ、育てるために

 

──発売後、売上を含めたブランドの成長はどのようなものでしょうか。

 

山口:発売前から、社内の期待値はとても高かったです。高級感を感じながらも、ガーナブランドであることがちゃんとわかり、安心感と美味しさが担保されていることがデザインに反映されていました。一つ懸念点として上がっていたのが、ガーナのブランドカラーである「赤」が使われていなかったことでした。これまで大事にしてきたブランドカラーである赤色を手放して、果たしてガーナと思ってもらえるのかと。ですが、実際に発売に至るとその懸念はすぐに払拭されました。結果的には202110月に発売したプレミアムガーナ5品は、前年品と比較して約2倍の伸び率でした。今年で4年目を迎えるブランドですが、発売当時から販売数を年々増加させ順調に成長しています。さらにラインナップの充実やコラボレーション展開などを経て、今や誰もが知るブランドに成長しました。

柚山:ブランドが着実に育ってきているのは、とても嬉しいことです。当時のデザインの裏話ですが、立ち上げ当初は「プレミアムガーナ」という名前をしっかり覚えてもらうために、パッケージデザイン上でロゴを大きくわかりやすく配置していました。その後、発売から時間が経ち、ブランドの認知度が上がっていくにつれて、ロゴサイズは少しずつ小さくしていく傾向にあります。その時々で、ブランドの受け取られ方は変わっていくので、世間からの認知度に合わせてデザインも変えていく必要があるのです。石井さんとは、そういったことを始めとしてとにかく議論を尽くしてきました。

石井:そうですね。近年、コラボ商品も増えていく中で、毎回ロゴの大きさをはじめとした見せ方について柚山さんと時間を割いて、とことん議論をしています。私はブランドの立ち上げ2年目からデザインを担当していますが、2年目はどのブランドも苦戦しがちです。そのタイミングで前任からバトンタッチされたので、個人的にも悩みながら進んできた経緯があります。特に、コンセプトである「一日の終わりに、ご褒美時間。」がどのようなお客様にもデザインを通して伝わるよう模索してきました。例えば、「ご褒美時間を過ごしたい」と思われているお客様にとって、過剰な情報は必要ではないのではないかと考えました。そこで、文字情報を精査し、美味しさがダイレクトに伝わるシズルの表現にこれまで以上にこだわることで、シンプルでリッチな気分が味わえる堂々としたデザインが完成いたしました。

柚山:やはり、クライアント側の意向として、パッケージの中にたくさん文字情報を入れたいと思うのは普通だと思います。それは商品に対しての作り手の熱意ですので、至極当然だと思うのです。しかし、ややもするとセールス的で、一方的だと取られてしまう可能性があります。消費者の気持ちを慮り、情報をコントロールする。その両者にとっての通訳のような役割がデザインだと思います。石井さんはロッテさんの中にいながらも、作り手の熱意と消費者の間に立ち、社内に真摯に働きかけてくれたからこそ、今のシンプルで高級感のあるデザインが実現したと思うのです。関わるメンバーが等しくブランドへのリテラシーを高く保ち、周りにも波及させる行動をしてきたからこそ、ブランドがうまく育ってきているのだと感じています。

 

対話し、議論を尽くすことのできる関係性を築く重要性

 

──なぜ、メンバーが等しくブランドに対するリテラシーを高く持てたとお考えですか。

 

柚山:うまくいった場合も、そうでない場合も「なぜそうなったのだろう」というロジカルな議論ができ、お互いの感情論で仕事をしないことだと思います。例えば、写真のレイアウトやカラーリングなど、一体何が起因して反応が良かったかを分析しながら、商品の売れ行きに一喜一憂することなく、次なる商品の議論を行ってきました。

石井P.K.G.さんとの議論は、いつも皆さんが忖度なしの本音で話してくださります。それゆえに、こちらも本音で対峙しなければ失礼だなと感じるところがあり、そのような関係性で議論し合えることがとても心地よいです。社内のデザイン担当が1人なので、P.K.G.さんがもはや社内の人間なんじゃないかという感覚がありますね。もちろん、意見がぶつかり合うこともあるのですが、そういったことがあるからこそいいアウトプットができていると思います。腹を割って話せる関係が、成功要因の一つだと感じています。

柚山:弊社のパーパスには「対話」という言葉が入っています。問題の本質について時間をかけて一緒に話していくということです。また、私個人のデザインへの考え方は「話せばわかる」というスタイル。基本的にクライアントの「こうしたい」というオーダーの裏には実は社内の事情などによる「こうしなければならない」という本音が隠れていると考えています。その事情を相談していただければ、「じゃあこのような別の方法がありますよ」とこちらも抜本的な提案ができるのです。ですが、その事情がわからないと代案も出せない。本音を喋っていただくことで、状況を理解した上で最善の道を一緒に探せるのです。ロッテさんとは日頃から本音で議論させていただいているので、本当にいい関係が築けたと思っています。

後編に続きます。

NEWS

Meiji カカフルシリーズ

「チョコレートは明治」の本気の挑戦!カカオというフルーツの新しい愉しみ方』と題し、株式会社明治がクラウドファンディングにて数量限定発売したプロジェクト、カカフルシリーズ

カカオをフルーツとして活かした新商品として開発され、タブレット、ドリンク、ソルベの3タイプで展開された本商品のパッケージデザインをP.K.G.Tokyoが担当いたしました。

ターゲットである健康や美容を意識した若い女性に向けて「カカオを新しい形で取り入れる体験」を届けるため、可愛らしく楽しい雰囲気の世界観という方針のもとパッケージデザインを制作しています。

 

カカオフラバノールタブレット、12枚入り/1箱。個包装された一口サイズのタブレット。今までのチョコレートとは違った新しいカカオ体験を提案したいと考え、敢えて「チョコレート」ではなく「タブレット」と名付けているそうです。

 

様々な色のカカオから抽出されるフラバノールが体を巡るイメージを、グラデーションのカカオポットイラストで表現し、商品タイトルの文字は高揚感を与えるような手書き文字を使用しました。

ブランドカラーのピンク色は甘酸っぱいフラバノール由来であることと、食べることで血の巡りが良くなり陶酔したような心地になることにちなみ、頬が赤くなるイメージも表現しています。

 

カカオフラバノールドリンク、125ml/1本。ストローで吸って飲めるパックタイプ。砂糖、香料、着色料不使用でカカオ果汁を贅沢に使用しているため、今までに体験したことのない不思議な味わい。

 

商品名の末尾がそれぞれ「タブレット」「ドリンク」「ソルベ」と異なりますが、それ以外は共通のピンク背景にカカオポットのイラストで統一しています。

「カカオなのにフルーティ」という驚きをポイントに、食品ではあまり見ない世界観だけれど、やっぱりどこか「美味しそう」「試してみたい」という部分を残すことを大切にしました。

 

カカオフラバノールソルベ、80ml/1個。脂肪をほとんど含まないため、口どけの瞬間にフルーティーな果汁感が香る。

 

 

クラウドファンディングは予想を超える反響により、サポーター1306人、目標金額の1104%に及ぶ大成功を収めました。

スタッフ内でリターン品を実食しましたが、どの商品もチョコレートの苦いイメージを全く感じさせないフルーティーな味わいで驚きました。個人的にしっかりとした酸味が効いていたソルベが印象的で、家でのリラックスタイムにぴったりな商品だと感じます。

 

 

持ち歩くのに適したタブレットやデスクワークのお供になるドリンク、家での気分転換にぴったりなソルベなど、日常生活に取り入れやすい商品形態も魅力的だと思います。

 

 

クラウドファンディングの募集は終了していますが、開発者の熱い想いがこもった商品紹介や、サポーターの方々の熱のこもった応援コメントなどがアーカイブされているmakuakeのホームページを是非ご覧ください。

makuake カカフルシリーズウェブサイト
https://www.makuake.com/project/cacafulwell/

 

meiji カカフルシリーズ

内容量
カカオってフルーツ!?カカオの新しいカタチ。赤くて甘酸っぱいカカオフラバノールドリンク  12本 (125ml/1本)
カカオってフルーツ!?カカオの新しいカタチ。赤くて甘酸っぱいカカオフラバノールソルベ   6個 (80ml/1個)
カカオってフルーツ!?カカオの新しいカタチ。赤くて甘酸っぱいカカオフラバノールタブレット  1箱 (12枚入り/1箱)

参考小売価格:カカフル・カカウェル4点セット 11,200円(税込)
配達日・地域:2023年5月末・全国(クラウドファンディングサイトMakuake)

 

P.K.G.Tokyo 稲田拓真

NEWS

meiji アグロフォレストリーミルクチョコレート

株式会社明治より、2020年10月6日から全国発売された「meiji アグロフォレストリーミルクチョコレート」。
こちらのパッケージデザインを担当いたしました。

「アグロフォレストリー」という言葉はなかなか聞き慣れないかもしれません。
これは「Agriculture|アグリカルチャー(=農業)」と「Forestry|フォレストリー(=林業)」という二つの単語から成り立つ造語で、その名の通り農業と林業、二つの特性を持っている農法を意味しています。
この特徴から「森をつくる農業」とも呼ばれます。

森林伐採後の荒れた土地を整地し、自然の生態系にならい高木、低木、果樹、樹木を複数種類組み合わせて植樹。
多様な植物を共生させることによって、連作障害を回避し自然へのダメージを軽減。
持続的に長期間の土壌利用が可能となることに加え、高木は日陰を作りカカオの育成を助け、コショウなど他の作物は農場の収入へ繋がります。
自然にとっても人々にとっても良い農法なのです。

木々たちは5年、10年、20年と時間が経つごとに自然の森のような生態系を築いていきます。
パッケージではこの森の成長のストーリーを表現しました。
4種類のパッケージを横につなげることで、さらに森のできていく様子を楽しむことができます。

アグロフォレストリー農法で作られたブラジルトメアスー産のカカオを使用した、アグロフォレストリーミルクチョコレート。
味わいはフルーティーな甘みの中にコクがあります。ミルクチョコレート好きな方に特におすすめしたい商品です。

公式ウェブサイトにて、実際のトメアスーの森の様子がムービーで紹介されています。
こちらもぜひご覧ください。

公式ウェブサイト
https://www.meiji.co.jp/products/brand/agroforestry/

ムービー
https://www.youtube.com/watch?v=RMJeplh0DSo

meiji アグロフォレストリーミルクチョコレート
内容量:45g
参考小売価格:168円(税別)
発売日・地域:2020年10月6日・全国

P.K.G.Tokyo 佐藤光

COLUMN

バレンタイン商戦に行ってきました。

2018.03.06

2018年、今年の冬は東京でも雪が積もり、あまりの寒さにまだかまだかと遠い春を待つばかり。
そんなお天気とは裏腹に、一段と熱く燃え上がっているのはバレンタイン商戦。恋人に、友人に、会社に、自分へのご褒美に、用途はみなさまざまでしょう。ところで、みなさんどうやってそのチョコレート選んでます?味?お値段?かわいい見た目に一目惚れ、なんていうのもありますね。
今回はパッケージデザインの会社らしく、素敵なパッケージのチョコを求めて、大手百貨店のバレンタインフェアを巡ってみました。銀座三越、松屋銀座、大丸東京店をハシゴです。

■ドゥバイヨル
ベルギーのチョコレート。ヨーロッパチックで乙女心くすぐる見た目にイチコロでした。インスタ映えとはかくやといった感じ。私が買ったのは、マチュラン シトロネット(1,080円)。砂糖漬けにしたレモンピールにチョココーティングがされていて、爽やかな柑橘の香りが良い。自分用としてでも、お友達にあげても喜ばれそう。


■カカオ・サンパカ
スペインのチョコレート。チョコそのものの造形が美しく、それを収まり良く見せるシンプルかつ上品な箱です。シックで大人向けなデザインなので、男性へのプレゼントとしても良いかも。こういう貼り箱って結構お値段するんですって。ビターで大人な味わいでした。


■ピエール・マルコリーニ
ベルギーチョコの王道。発色がどれも綺麗で、とても目を惹きました。缶なんて、食べ終わったあとに小物入れにするのにちょうど良いサイズ感と可愛さじゃありません?パッケージに描かれたタツノオトシゴは、ベルギーで古くから愛と幸せの象徴なんだそうです。味は言わずもがな。


■コンパーテス
ニューヨークのチョコレート。花や猫といった可愛いモチーフが多い中、ポップなスカル推しが異彩を放っていました。中でも危険そうな、1つだけDANGER(激辛味)入りのロシアンスカル(1,296円)を購入。蓋を開けてもポップで可愛いので、仲間内で配るならうってつけかも。社内にいた5人でロシアンチョコレートをやったところ、激辛があまり激辛ではなかったようなので、来年はもっと辛さ増量して大丈夫ですよコンパーテスさん!ちなみに私はラズベリーでしたが、甘酸っぱいソースが口に広がって大変美味しかったので、お味は保証します。


バレンタイン商戦は各社が毎年力を入れているので、ちょっとした博覧会のようでした。
来年以降もパッケージからじっくり見て選んでみるのも楽しいかもしれません。

P.K.G.Tokyo:横田 藍

REPORT

〈GIANDINO〉エキュート品川サウスに期間限定出店!

2018.03.06

ジャンドゥーヤ専門店〈GIANDINO〉が、品川駅構内のエキュート品川サウスに期間限定出店しているということで、早速伺ってきました!

時刻は平日14時すぎ。たくさんの新幹線利用客で賑わっていました。

私も新商品のナッティーショコラプリン(3個入:1,458円)と、ナッティーショコラフロマージュ(1本:1,944円)を購入。外箱も可愛いんです。

こちらはナッティーショコラプリン。赤いストライプがキュートです。

とっても濃厚でクリーミーなプリンで、既存のクッキー・ブラウニーと同様にナッツの芳しい香りが鼻を抜けておいしいです。

フロマージュは名前の通り濃厚なクリームチーズとナッツの効いたチョコレートが重なっていて、層ごとに違う食感が楽しめました。

身近な人へのちょっと気取ったお土産としていかがでしょうか。

【店舗情報】

エキュート品川 サウス イベントスペースB

出店期間:2/5(月)~2/18(日)

営業時間:8:00 ~22:00(日・祝 8:00 ~21:00)

 

P.K.G.Tokyo:横田 藍

カテゴリー

ピックアップ

1 2 3 4 5 24
MENU