P.K.G. MAGAZINE | パッケージを考える

NEWS

伊勢抹茶 / 伊勢茶 サンプリングパッケージ

昨年アゼルバイジャンにて製造販売開始された伊勢茶。
順調な滑り出しだったにも関わらずその後新型コロナウイルスが猛威を振るい、
海外向けのお茶需要が激減してしまいました。

そこで国内においても伊勢茶の魅力を伝えるべくHISの関連ホテルや店舗でサンプリングをすることとなり、P.K.G.Tokyoは昨年に引き続きパッケージデザインを担当しました。

ブランドロゴ、基本的なトーン&マナーは海外販売のデザインと統一しつつ、
外袋はオリジナルの紙袋を作成しホテル土産らしさのエッセンスを加えました。
外袋を開けると中に4種のお茶が入っている、限定30,000セットのアソートです。

見かけたらぜひ飲み比べを楽しんでみてくださいね。

P.K.G.Tokyo ディレクター:中澤亜衣

NEWS

meiji アグロフォレストリーミルクチョコレート

株式会社明治より、2020年10月6日から全国発売された「meiji アグロフォレストリーミルクチョコレート」。
こちらのパッケージデザインを担当いたしました。

「アグロフォレストリー」という言葉はなかなか聞き慣れないかもしれません。
これは「Agriculture|アグリカルチャー(=農業)」と「Forestry|フォレストリー(=林業)」という二つの単語から成り立つ造語で、その名の通り農業と林業、二つの特性を持っている農法を意味しています。
この特徴から「森をつくる農業」とも呼ばれます。

森林伐採後の荒れた土地を整地し、自然の生態系にならい高木、低木、果樹、樹木を複数種類組み合わせて植樹。
多様な植物を共生させることによって、連作障害を回避し自然へのダメージを軽減。
持続的に長期間の土壌利用が可能となることに加え、高木は日陰を作りカカオの育成を助け、コショウなど他の作物は農場の収入へ繋がります。
自然にとっても人々にとっても良い農法なのです。

木々たちは5年、10年、20年と時間が経つごとに自然の森のような生態系を築いていきます。
パッケージではこの森の成長のストーリーを表現しました。
4種類のパッケージを横につなげることで、さらに森のできていく様子を楽しむことができます。

アグロフォレストリー農法で作られたブラジルトメアスー産のカカオを使用した、アグロフォレストリーミルクチョコレート。
味わいはフルーティーな甘みの中にコクがあります。ミルクチョコレート好きな方に特におすすめしたい商品です。

公式ウェブサイトにて、実際のトメアスーの森の様子がムービーで紹介されています。
こちらもぜひご覧ください。

公式ウェブサイト
https://www.meiji.co.jp/products/brand/agroforestry/

ムービー
https://www.youtube.com/watch?v=RMJeplh0DSo

meiji アグロフォレストリーミルクチョコレート
内容量:45g
参考小売価格:168円(税別)
発売日・地域:2020年10月6日・全国

P.K.G.Tokyo 佐藤光

NEWS

2021 日本パッケージデザイン大賞に入賞・入選いたしました

JPDA主催「2021 日本パッケージデザイン大賞」にて弊社作品4点が入賞・入選いたしました。

家庭用品・一般雑貨・医薬品部門 銀賞受賞
STIIK

ー「カトラリーのような箸」がブランドコンセプトであるSTIIKは、世界各国の料理を取り込む現代日本の食生活にふさわしいカトラリーになろうとしています。通常の箸は一膳2本を単位としますが、STIIKの細長いパッケージから覗いているのは一本のスティック。箸の概念を少しずらしたパッケージデザインによりコンセプトを表しました。

ad. 天野 和俊
pl. ワダ ケンジ
pd. 鷲見 栄児 

アルコール飲料部門 銀賞受賞
UMESHU THE AMBER

ー琥珀色のヴィンテージ梅酒“UMESHU THE AMBER”は、厳選された梅を使用し熟成させた、年代ごとに異なる味わいの3種の梅酒のセットである。ボトルを包む白いラベルは、梅酒の産地の紀州文化の一つである和服の染め型紙の梅文様。白いラベルの繊細な窓から、琥珀色の液体を目でも味わうことができる特別なデザイン。

ad. 天野 和俊
d. 白井 絢奈
prd. 福永紙工株式会社
cl. リカー・イノベーション株式会社


また、現在受賞を記念してUMESHU THE AMBER Limited EdditionがKURAND様より発売中です。是非こちらも合わせてご覧ください。
https://kurand.jp/pages/umeshu-the-amber

食品部門 入選
じっくり、乾燥鍋。いしかり

ー石狩鍋にとってのシズル感とは、鮭であり、北海道である。詰まるところそれは熊であり、土鍋である。アイデアがシンプルで明解であればあるほど、定着が全てである。直筆でなければ描けない線を引くことで生まれるキャラクター性こそがシズル感となる「じっくり、乾燥鍋。いしかり」は「乾燥鍋」ブランドの“始まり”のデザインと言える。

ad.&d. 天野 和俊
d. 佐藤 光
cl. 株式会社ショクラク


アルコール飲料部門 入選
SORACHI 1984

ーSORACHI 1984は、伝説のホップ「ソラチエース」を使用した個性あふれるビールのシリーズ。パッケージ正面にはこのビールの個性であるホップをシンボルとしてイラストで表現。味わいが記号的に蘇る、シンプルでアイコニックなパッケージデザインである。ホップのイラストにはSORACHI ACEの「A(エース)」が隠れている。

ad.&d. 柚山 哲平
cd. 新井 健司
cd. 田中 章生
d. 白井 絢奈
cl. サッポロビール株式会社


たくさんの方々のお力添えあって今回このような賞をいただけたことを誠に感謝しております。
必要とする人に必要なものを橋渡しするためのデザインがパッケージの目的であり、賞をいただくためだけに作っていくわけではありません。しかし賞をいただけることは、店頭に並ぶことや広告を出すこととはまた違ったアプローチにつながると考えています。ただの情報の伝達手段に止まらず、様々な方に共感いただけるパッケージをこれからも作り続けていきたいと思っています。

NEWS

すだち酒スパークリング「あわす」がKURANDより発売されました

モデル・ブランドディレクターとして活躍する村田倫子さんプロデュースのすだち酒スパークリング「あわす」。
こちらの制作に弊社も携わらせていただきました。

のみきりサイズの缶はイラストを大きくあしらっています。
泡とすだちに包まれたゆったりとしたどこか浮遊感ある空間。
お酒を飲んでいるときの開放的をイメージして描き、レトロな雰囲気の佇まいに仕上げました。

こちら「あわす」の名の通り、食事と合わせても美味しいお酒です。
甘すぎない心地の良い味わい、炭酸とすだちの酸味でさっぱりといただけます。

セット販売に加え、1本単位からも販売開始となりました。
頑張った自分へのちょっとしたプレゼントとして、「あわす」で自惚れ時間を過ごしてみませんか?

すだち酒スパークリング あわす
パッケージ:270 ml 缶(単品 / 6本入り箱 / 24本入り箱 )
品目:リキュール(発泡性①)
アルコール分:6%
製造元:本家松浦酒造場
販売者:リカー・イノベーション株式会社

販売サイト KURAND
https://kurand.jp/products/awasu?variant=32307132366903

公式サイト
https://awasu.me

P.K.G.Tokyo 佐藤 光

COLUMN

日本のパッケージ記号論

2020.09.11

“日本の包みは、運ばれる品物の一時的な飾りではなくて、もはやそれ自体が品物なのである。包装紙そのものが、無料だがしかし貴重なものとして聖化されている。包みが一個の思想なのである。”

“しかし、たいていは幾重にも包まれたこの包みの完璧さそのもののために(人はなかなか包みをときおおせない)、包みが包み込んでいる内容の発見を包みはさきへ押しやる——そして包み込んでいる内容はおおむね無意味なしろものである。つまり、内容の不毛が包みの豊饒と均衡がとれていないという、そのことこそが、まさに日本の包みの特殊性なのである。”

“つまりは相手に贈る肝腎なものは、包み箱そのものであって、包み箱の内容ではない、といった感じである。”

“つまりは、包み箱は表徴の役目を果す。遮光カバーとして包み、仮面としての包み箱は、それが隠し保護しているものと、等価である。と同時に、もしも次の言いかたをその二重の意味、金銭と心理の二つの意味にとっていただけるならば、包み紙は《内容と代替可能》ということを示すものである。包み箱が包みこみ、そして包み箱が表徴するもの自体は、ひどく長い時間、《もっとあとに置かれる》ことになる、あたかも包みの機能は空間の中に保護することではなくて、時間のなかに運びこむことでもあるかのように。”

“包みの中にある内容、表徴のなかにある表徴されるもの、それを発見することは、それを棄てることなのである。蟻のようなエネルギーで日本人が運んでゆくものは、つまるところは空虚な表徴である。”

Roland Barthes (1970). L’Empire des signes
(ロラン・バルト 宗 左近(訳) (1996). 表徴の帝国 ちくま学芸書房)

ロラン・バルトはフランスの思想家、記号学者です。1966年から1968年にかけて数度来日、その経験から西洋の文化のあり方と日本の文化のあり方を、「記号(表徴)」をキーワードに論じています。西洋の文化、思想が意味を重んじるのに対して、日本には意味を隔たった「記号」をもつ文化の国として様々な例を取り上げています。

例えば、皇居について「空虚な中心」として、いかにも都市の中心でありながら誰からも見られることのない皇帝の住む御所として書き記しています。また、西洋の場末のビリヤード・マシンは打ち出した玉を機械をゆすり、進路を調整することに重きを置くことに比べ、日本のパチンコは打ち出した玉の軌跡に全てを委ねるものとして紹介されています。そのあり方は日本の芸術家の、線を一気に引くような、決して矯正のないあり方が根源的絵画の原則と同じであると論じています。

そんな文化論の一節に、冒頭で引用した日本の「包み」があります。日本の包装は、ささやかなお土産のお菓子であってもまるで宝石と同等のように豪勢である、そんな豪勢な包装のお土産を修学旅行の学生たちが容易く持ち歩いていると著者は述べています。そして何重にも包装され、まるで開封のときを遅らせるかのようです。包み箱の価値と中身の価値は等しく、また包みを開けることはその包みの「表徴」を棄てることだとも論じています。

人にものを贈るとき、誰しもパッケージを吟味したことがあるのではないでしょうか。何色かから選べるリボンを相手の好みを想像して選んだり、少し高級な箱に入れてもらったり……逆に貰う立場の際は、素敵なパッケージに期待を膨らませたり、そっと開けるときのワクワクした気持ちは誰しも味わったことがあるかと思います。全ては「贈る」という行為の演出であり、相手との気持ちや時間の共有のための手段としてパッケージが用いられています。贈る行為に込めた思いやりが、ロラン・バルトの論ずる「意味を隔たった記号としての包み」という日本独自の文化を形成してきたのではないかと思います。

現在、世界ではもちろん日本でもパッケージの環境配慮が進んでいます。プラスチックから紙への移行やラベルレスの商品の登場など、パッケージの文化はどんどん変わっていくことになりそうです。もちろん過剰な包装の見直しや、素材への意識のアップデートは進めていくべきだと考えています。パッケージのデザイナーとして、環境配慮には取り組みつつパッケージに潜む日本の文化までを無くしてしまわないよう、心に留めていきたいと思います。

P.K.G.Tokyo 白井絢奈

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